研究概要 |
前年度に提案した、マルチルータ環境を対象としてIPv6のサイトローカルアドレスをゼロ設定(zeroconf)でステートレスに自動割り当てする枠組を、本年度は実装して評価するとともに、DNSにIPマルチキャストをもちいることで、DNSサーバのゼロ設定をめざして研究を行った。 提案方式では、アドレスのサイト内での一意性を保証するために,RIPngを拡張した方式でプレフィックスアドレス重複が検出される。重複が検出されると直ちにリンクリーダへ通知され、IPv6のアドレス付替の仕組を用いて新たなアドレスへの付け替えが行われる。その際、IPv6において一つのリンクに複数のアドレスを割り当てられる機能とアドレスの有効期限を設定できる機能を活用し、アドレス付け替えが完了するまでの間も、アドレスの重複が検出されたルータを境界としてその両側で、古いアドレスが一定の期間利用できるようにした。 次の段階として、サイトローカルアドレスの割り当てと連動してDNSを動的に構築する方法を設計した。当該サブネットのサイトローカルプレフィックスを生成したルータがそのアドレスに対するDNSサーバになるものとし、そうしてできたDNSサーバ間の木構造を経路制御プロトコルから得られる情報を用いてDNSレコードを自律的に生成する。またホスト固有のサービスに対応した自由なドメイン名も使うことができるように、DNS正引き要求をマルチキャストにより転送する。以上の仕組みに基づく自律分散型DNSを構築した。 さらに無線IPルータ(ルート(株)製RGW-2400,OSはNetBSD)にルーティングソフトウェアを組み込み、検証を行った。
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