研究概要 |
本研写では,従来よりも容易にかつ正確に3次元物体の形状・色情報を取得するため,ステレオ型イメージスキャナを開発し,これによる3次元形状復元方法および物体のモデリング方法についての検討を行なった.今年度は,まず,前年度試作したステレオ型イメージスキャナの改良を行なった.具体的には,電動スライダーとモーター制御ボードを新たに購入し,そして,前年度購入済の組込用小型カメラと小型蛍光灯を組み合わせて,よりコンパクトな装置とした.次に,新たな形状計測方法として,ステレオ法と相補的な特徴を持つ陰影情報からの形状復元方法について検討した.この方法では,まず,サンプル形状として様々な2次曲面を,またサンプル明度情報として光学モデルから求められた2次曲面上の明度分布を用意する.そして,これらのサンプルデータを固有空間に投影・保存する.次に,画像中の部分的な明度パターンを固有空間に投影し,空間内での線形補間によって形状を復元する.この方法によって,明度変化が傾らかでステレオ法では計測しにくい物体表面の形状を復元することが可能になる.しかし,実験では,形状復元は可能であったが,復元形状に誤差が含まれる場合が多いものであった.これは,固有空間中でサンプルデータの分布に偏りが生じていたためと考えられるので,今後は,この問題についての検討が必要である.また,本研究では.物体形状を凸包によってモデリングする方法についても検討した.これは,スキャナでは部分的にしか3次元形状が得られないので,それらを統合する必要があるためである.ここでは,表面の法線ベクトルの分布を用いる方法について検討し,部分形状の統合が可能であることを確認した.今後もこれらの研究結果を踏まえ,安価で扱い易いステレオ型イメージスキャナについて検討していく予定である.
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