研究課題/領域番号 |
13780306
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
知能情報学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
稲葉 光行 立命館大学, 政策科学部, 助教授 (80309096)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 協調学習 / 社会文化的アプローチ / 批判的思考 / アウェアネス / メタ認知 / WBT / Collaborative Learning / CSCL / Critical Thinking |
研究概要 |
本研究では、社会文化的アプローチに基づいて、教師と学生が共同でWeb教材の拡張作業に参加することで協調学習(Collaborative Learning)を実現する、知識蓄積型Web教材システム薀蓄(UNCHIKU)の開発と適用実験を行った。このシステムでは、講義の参加者(教師および学生)が、Web教材に対して付箋を貼るように書き込みをしながら対話を行うことができる。書き込みの際には、決められた対話ラベルを選択する必要があることと、書き込みに対する投票機能、投票結果に基づくフィルタリング機能などが提供されるため、参加者の対話に一定の秩序がもたらされる。また、参加者同士の対話をネットワーク図として可視化する機能や、それらに対するネットワーク分析の機能が提供されることで、学習共同体の動態に対するアウェアネスや、共同体に対する社会適応のためのメタ認知が支援される。 研究期間の後半では、2つの講義においてシステムの適用実験を行った。学生の発言に関する分析やアンケート調査を行った結果、このシステムが学生と教師の対話の活性化に貢献するだけでなく、電子会議室等の単純な対話メディアに比べて、参加者間の知識共有が容易にできるという評価が得られた。また受講者の役6割が、このシステム導入によって「講義の内容が理解しやすくなった」と回答し、約7割の受講者が「他の講義にも導入すべきである」と回答していることから、学習支援の仕組みとして一定の効果があったと考えられる。 さらに本研究では、対話パタンに一定の制約を与えることで、学生が自らの発言の適切さを反省する態度や、他者の発言を論理的・客観的に理解しようとする態度、つまりCritical Thinking Dispositionの育成を目的としていた。実験の後、P.A.Facioneらの批判的思考能力診断テストCCTDIを用いて調査を行った結果、CCTDIが想定する7要素のうち、systematicityおよびtruth-seekingについては統計的に有意な向上が見られた。今後は、それ以外の5要素open-mindedness、analyticity、self-confidence、inquisitiveness、maturityの向上についても取り組んで行きたい。
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