研究概要 |
今年度は前年度までの成果を応用し,全方位画像センサを用いた移動ロボットの遠隔操縦システムを2種類構築した. まず一つめは,研究室内の設備を用いてシステムを構築した.移動ロボットと全方位画像センサ,ヘッドマウントディスプレイ,ジョイスティック,研究室内の有線・無線LANなどを組み合わせてハードウェアを構築し,そのハードウェア上で遠隔操縦システムの画像提示手法を開発した.画像提示手法は,ロボットが移動している状態では一台の全方位画像センサと独自に開発した視線追従型実時間テレプレゼンス手法を用い,実時間で操作者に現在の画像を提示した.このとき操作者は運動視差により奥行きを知覚できた.ロボットが静止している状態では一台の全方位画像センサを回転させることにより,両眼視差により知覚できる画像を生成・提示した.これにより全方位画像センサを用いた画像提示が移動ロボットの遠隔操縦に非常に有用であることを確認した. さらに二つ目として,奈良先端科学技術大学院大学の設備と通信・放送機構奈良リサーチセンターの設備の両方を利用したシステムを構築した.移動ロボットと全方位画像センサ,通信・放送機構の大型4面没入型ディスプレイ,有線・無線ネットワークなどを組み合わせてハードウェアを構築し,そのハードウェア上で先ほどの遠隔操縦システムの画像提示手法と同様のものを実装した.この画像提示手法ではハードウェアの性能上,両眼視差を利用した画像提示はできなかったものの,ヘッドマウントディスプレイと比較して視野が非常に広く,遠く離れた場所でもロボットの周囲の状況を容易に把握することができた.これにより,特に大型のディスプレイ使用した場合は広い視野の画像を提示可能な本手法の有効性を確認できた. 以上により,移動ロボットの遠隔操縦において本手法の有効性を確認できた.
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