研究概要 |
本年度は操船シミュレータを用いたケーススタディにより、昨年度試作を行った支援システムの改良およびその有効性について検証実験を行う。 以下に本年度の新たに開発を行なった項目を示すと共に研究成果の概要を示す。 1)昨年開発を行なったコントローラに次の改良を行なった。実際の操船場面への適応を考え,指令に対するタグボートの実行遅れの影響とタグボートの出力上の制限を考慮した制御量補正方法を考案し,コントローラに組み込んだ。 2)操船上必要となる情報を統合化し,操船者に提供する情報表示装置の開発を行なった。 タグボートを利用した操船をおこなう場合に,操船者の負担となっているものは,情報処理と複数のタグボート制御を同時に実行することである。それは,目的の運動が複雑なものになるほどその度合いは増す。本年度は,H13年度開発を行なった支援システムを現実の操船状況に適応すべく,さらなる改良,開発を行なった。開発を行なった支援システムは、操船上必要となる情報処理とタグボートに関する指令操作から操船者を開放することで負担の軽減を行った。支援システムを用いることで操船に要する時間は短縮され,その精度は向上する。これはタグボートを利用した操船作業における運航効率と安全性の両者を改善することにつながると考えられる。 本年度開発を行なった支援システムでは,本船装備で信頼性の高いジャイロコンパスからの信号のみを制御にとり入れた。これは外部のシステムに依存せず,単独で稼動可能なシステムを目指し,開発をおこなったためである。今後,この支援システムをより効果的なものとするために,付加的な機能として,GPSなどから位置情報をとり入れ,船体移動に関しての制御をおこなうことが考えられる。また,本船とタグボート間の情報のやり取りを円滑におこなうための通信システムの開発も求められる。
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