研究概要 |
ソフトウェア信頼度成長モデル(SRGM)を構築する際の考え方を取り入れて,ソフトウェアの稼動中に不安全状態に陥ることを考慮した安全性評価モデルを,マルコフ過程を用いて構築した.特に,動作中の不安全状態は,システムの安全監視プログラムによって認知できる状況を想定した.このモデルから,「任意の時刻でソフトウェアが不安全な状態には陥っていない確率」を表すソフトウェア安全度を導出した.これにより,ソフトウェアの安全性管理を,科学的アプローチにより実施できる可能性を示唆した.また,従来のSRGMと同様に,デバッグ回数とソフトウェア安全性評価の関係を把握するモデルも提案した. また,前年度議論したソフトウェア可用性評価モデルをさらに発展させて,以下の研究成果を得た. 1.2つのハードウェアシステムを1つのソフトウェアシステムで制御している2ユニットコンピュータシステムに対して,ソフトウェアの信頼度成長過程を考慮したシステムの可用性評価モデルを構築した.特に,「単位時間当りに処理可能な計算量の平均値」と定義される計算アベイラビリティという処理性の評価尺度を導出し,ソフトウェアの信頼度成長過程とシステムの処理性能の関係について議論した. 2.Unixシステムなどの複数のユーザが同時に利用可能なシステムを想定して,ソフトウェアに対するデバッグ回数および同時に使用しているユーザ数とソフトウェア可用性評価の関係を把握するモデルを提案した. 3.本モデルに基づいて,品質評価基準にソフトウェア・アベイラビリティを導入したソフトウェアの最適リリース問題について議論した. 4.フォールト修正困難度の上昇傾向を,テストチームのデバッグ能力を表している完全デバッグ率に反映させて,ソフトウェア可用性評価モデルを再構築した.
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