研究概要 |
本研究は,高安全性ニューラルネットワーク(以下NN)・ファジイコントローラ(以下FC)の開発を目的とし,以下に示す成果を得ることができた. 1.FC多重故障補償法確立 (1)メンバシップ関数多重縮退故障に対するオンライン検出法を提案した.本方法は,後件部における検査用観測対象として,積分値であるファジィ出力集合面積を用いた.これにより,本方法に基づき,従来法より安定性において優れたハードウェア構築が可能となった. (2)上記(1)により検出されたもののうち,各前件部,後件部に高々一個生じている故障に対する即時的補償法を提案した.本方法は,後件部に補償用関数を一個付加するだけでよいため,従来法よりハードウェア付加量を削減できる. 2.NN耐荷重故障化学習法確立 (1)入力層,中間層,出力層からなる階層型NNに生じた結合線縮退故障に対し,その影響を最低限に抑え込む学習アルゴリズムを提案した.中間層内故障耐性化のためには、活性化関数であるシグモイド関数の傾きを小さくする.一方,出力層内故障耐性化のためには,シグモイド関数の傾きを逆に大きくする.本方法は,耐故障性において従来法より優れている. (2)上記(1)の傾き操作に加え,ニューロン内部状態における演算改良も採用したフォールトトレランス強化法を提案した.荷重縮退故障の影響が一定量を大幅に超える場合は,演算改良としてニューロンに新たに加えられたフィルタ機能が,その値を許容値まで低減する.一方,ニューロンへの各入力値を一定量減じた後,各内部状態値を一定量増加させる演算改良策が,故障影響の比較的小さい場合に作用し,耐故障性を向上する.本方法は,耐故障性・学習収束速度の両面において,従来法よりも大幅に優れている. 3.NNオンライン検査法確立 NNへの教師信号符号化に際し,1ビット数を奇数にし,オンラインパリティ検査を可能にした.
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