研究課題/領域番号 |
13780371
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会システム工学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
辛島 光彦 東海大学, 電子情報学部, 助教授 (90264936)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 脳性麻痺者 / 日本語文書 / 読み特性 / 視線移動 / 停留 / 文書読み特性 |
研究概要 |
本研究では15inch液晶ディスプレイ上の日本語文書を読む際の脳性麻痺者と健常者の読みについて比較検討した。実験は脳性麻痺者5名、健常者9名を用いて行い、各被験者にディスプレイ上に表示された日本語能力検定試験出題基準3級程度の25文字×8〜10行からなる文書(1文字1cm×1cm、視距離70cm)を黙読させた。その際の所要時間及び、視線の停留の様相として停留時間、停留頻度、サッケード距離、サッケード速度、逆行回数、視線移動速度分布を基に、脳性麻痺者の日本語文書読みの特性について検討した。合わせて昨年度脳性麻痺者の視線移動速度分布から示唆された注視に伴う随従運動の増大傾向が視線の停留の様相に与える影響を調べるために、ディスプレイ上のランダムな位置に一定時間表示される指標を注視させる実験を行った。 その結果、健常者と比較した脳性麻痺者のディスプレイ上の日本語文書読み特性として、逆行回数の増加、停留頻度の増加により黙読所要時間の延長が生じることが示唆された。この逆行回数の増加は昨年度のスクリーン上の日本語文書読みでは現れなかった健常者との相違であった。 また脳性麻痺者の視線移動速度分布には、昨年度と同様健常者と比して注視に伴う随従運動成分と考えられる速度成分が広範にかつ多く分布する傾向が示唆された。ところでディスプレイ上のランダムな位置に一定時間表示される指標を注視させる実験における脳性麻痺者と健常者の視線の停留時間を比較したところ、脳性麻痺者は健常者と比較し停留時間が短くなる傾向が示された。これは脳性麻痺者は健常者と比較し、注視に伴う視線の随従運動の増大に起因し、指標注視の際に視線を停留させるまでに時間を要したためであると推察される。これらのことより脳性麻痺者の黙読所要時間の延長には、注視に伴う視線の随従運動の増大による視線の停留の遅れも影響している可能性が示唆された。
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