研究概要 |
本研究では,ICCDカメラとNd-YAGレーザを組み合わせた高感度なレーザ散乱法を構築し,炭化水素プラズマ中の炭素クラスタの発生・成長過程の全体像を明らかにした.また,シランプラズマ中のシリコンクラスタを対象に開発された,新ラングミュアプローブ法を炭素クラスタに初めて適用した.具体的には,以下の結果を得た. 1.ガスがメタン(100%),圧力が266Pa,放電電力が40〜100Wの実験条件において,放電開始後約0.1s程度からクラスタが出現し始める.また,炭素クラスタは,核形成,急速成長,成長飽和の3つの段階を経て,時間とともに成長する. 2.炭素クラスタは,高周波電極側のプラズマ/シース境界領域で局所的に発生・成長する.この領域は,強いプラズマ発光の領域と一致し,クラスタの発生・成長に気相中のラジカルが関与していることが示唆される. 3.新ラングミュアプローブ法により,負帯電クラスタは正イオンよりも大きく,また時間とともにその差は広がっており,負帯電クラスタが時間とともに成長している. 以上の炭素クラスタ成長過程は,シランプラズマ中のシリコンクラスタの成長過程と良く似ており,シリコンクラスタを対象に開発されてきた種々のクラスタ検出法や抑制法が炭素プラズマにも有効である可能性が極めて高いと考えられる.今後は,質量分析により正イオン種を調べ,新ラングミュアプローブ法で調べたクラスタ質量を正確に求める.また,実際の炭素材料作製条件における種々のナノクラスタ検出法の適用可能性を調べ,高効率・品質な高効率・品質な材料作製条件を明らかにする.
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