研究課題/領域番号 |
13780432
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
張 秋梅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00260604)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 放射線 / 活性酸素 / 塩基損傷 / 塩基除去修復 / DNAグリコシラーゼ / 突然変異 / 8-オキソグアニン / 5-フォルミルウラシル |
研究概要 |
放射線や活性酸素によって数種類のチミンの酸化的損傷が生じる.5,6-二重結合へのOHラジカルの付加反応によって主にチミングリコール(Tg)が生じるが、メチル基へのOHラジカルの反応では最終的に5-フォルミルウラシル(5-foU)および5-ヒドロキシメチルウラシル(5-hmU)が生成する.私たちの研究室では数年前から、5-foUおよび5-hmUの修復酵素の研究を行ってきた.大腸菌では、MutM、NthおよびNeiタンパク質がこれらの損傷を認識するDNAグリコシラーゼの活性を持つことを明らかにしてきた.ヒト細胞のcrude extractには少なくとも2種類の異なる5-foU-DNAグリコシラーゼ活性を検出したが、そのうちの1つは大腸菌NthのホモログhNTH1であると同定できた.さらに、精製したhNTH1タンパク質は5-foUを含むオリゴヌクレオチドを損傷部位で切断する酵素活性を持つことを証明した.最近、Hazra(2002)およびTakao(2002)らによって、大腸菌Neiタンパク質のホモログであるhNEIL1が同定された.私たちはヒトのhNEIL1遺伝子をクローニングし、大腸菌nthnei変異株の過酸化水素高感受性をcomplementする活性を持つことを明らかにした.さらに、hNEIL1遺伝子を持つ大腸菌のcrude extractを用いたtrappingの実験から、このタンパク質がDNAグリコシラーゼ/APリアーゼの活性を持つことを確かめた.精製したhNEIL1タンパク質は5-foU、5-hmU、Tgをそれぞれ持つオリゴヌクレオチドに強い修復活性を示すことも明らかにした.これらの結果は、ヒト細胞においてもhNTH1に加えてhNEIL1タンパク質もチミンの酸化的損傷に対して重要な役割を果たすことを示している.一方、このタンパク質と構造的なホモログであるhNEIL2は5-foUや5-hmUを修復する活性を持たないことも明らかにした.
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