下水汚泥の適正な処理・処分は、都市下水処理の大きな課題の一つであり、またその必要性は下水道普及率の増加とともにますます高まってくるものと考えられる。近年、活性汚泥にオゾンを直接添加することにより汚泥発生量が削減できることがわかり、その下水処理への適用が検討されている。しかし、オゾン添加による汚泥の可溶化にともない難分解性有機物や栄養塩類(N、P)の濃度が上昇という問題があり、適用に際しては、それらの解決が不可欠となっている。 そこで、本研究では、窒素除去法として生物学的硝化脱窒法、リン除去法として凝集剤添加法について、その適用性の検討を行うことを目的とした。具体的には、まず下水汚泥のオゾン処理時における有機化合物や窒素、リン化合物の挙動を明らかにしたうえで、オゾン添加にともない溶出する栄養塩の対策方法にっいて実験的に検討した。 その結果、窒素およびリンの挙動は各々異なるものであった。窒素分は液化した有機炭素量にほぼ比例し、オゾン処理にともない溶出する窒素成分の約95%は有機態窒素であることがわかった。一方リンの溶出に関しては、オゾン添加初期におけるΔSP/ΔDOCの値は大きく、初期段階では無機物の割合が大きい結果となることがわかった。そして処理法として生物学的硝化脱窒法の適用を検討し、溶出有機物を水素供与体とした脱窒反応により窒素除去できること、および有機態窒素の無機化にともないNH4-Nが生成するが、発生童は脱窒量より小さいことがわかった。よって、生物学的硝化脱窒法を活性汚泥プロセスに組み込むことで、窒素除去が可能になると考えられた。またリンに関しては、凝集剤での除去を検討し、凝集汚泥発生量や固液分離効率の観点からPAC、FeCl_2、FeCl_3の凝集剤の中では、固液分離させた上澄み水にPACを添伽すれば汚泥量を減少させつつ、S-P除去が出来ることがわかった。
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