研究概要 |
列車の高速化や,二階建て新幹線のような車両の大型化に伴い,トンネル抗口において列車の突入・通過時に微気圧波や低周波音が発生している。対策として,トンネル入り口のフード(緩衝工),トンネル内の枝坑・器材坑,列車先頭形状の工夫等のパッシブな手法が採用されているが,時速350km以上になる将来の高速大量輸送に対応することは困難である。本研究では,列車の形状・速度,トンネル形状などの条件の違いに自動的に追従できる,アクティブな微気圧波消音方法を確立することを目指している。 列車のトンネル突入で発生した圧縮進行波の先頭に,枝坑から正圧の制御波を発生させ合成する手法で微気圧波を消音でき,ロバスト性も高いことを数値計算で明らかにした。-6[dB]以上の消音効果を得るためには,制御波発生のタイミングに対しては,圧縮進行波の立ち上がり長さLに対して約±40%以内まで許容され,制御波の振幅に対しては,進行波の約40%以上の振幅があれば十分であることが判明した。このことはトンネル模型を用いた実証実験結果とも非常によく一致した。 列車の形状・速度,トンネル形状などの条件の違いに自動的に追従するためには,上流で計測した圧縮進行波の波形に応じた制御波を発生させる必要がある。そのためにはバルブに与える駆動速度曲線と,それにより発生する制御波との間の伝達関数(インパルスレスポンス)を明らかにすることが重要である。現在,アクティブな消音実験に用いることが可能なインパルスレスポンスを得るために,計測方法と計算アルゴリズムの改良を進めている。
|