本研究では、構造ゲノムプロジェクトの進展を念頭において、タンパク質の立体構造情報からその機能を予測する「第一原理的機能予測法」の開発を目指している。そこでは、従来行われていたような進化的類縁関係(配列の類似性)からの機能の類推ではなく、タンパク質の立体構造・機能相関というタンパク質の機能を直接決めているメカニズムを解明し利用することを目指す。このために(1)構造および機能がわかっているタンパク質のなかで数多くの立体構造が明らかにされているものヌクレオチド結合タンパク質に置いて、立体構造と機能情報で整理されたデータベースを構築し、(2)このデータベースから構造機能相関の経験的ルールを導き出し、構造からの機能予測法の開発を行う。 14年度には前年度に同定した103のスーパーファミリー毎に機能情報を付加し、機能の類似性と構造の類似性の相関関係をしらべ、モノヌクレオチドの認識はモノヌクレオチド全体ではなくモノヌクレオチドの各部分(塩基、糖、燐酸)ごとに認識の共通パターンが存在し、その部分ごとに類似性検索を行うことによりモノヌクレオチド結合部分の予測の可能性が見えてきた。 15年度には、全年度に見出したモノヌクレオチト結合のルールを基にした類似性検索法を開発し、実際に機能未知のたんばく質において、結合部位の予測を行い、良好な結果を得ることが出来た。現在これらの予測結果の実験的なサポートを得るために共同研究者を展開する準備を進めている。
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