研究概要 |
1本のDNAを蛍光顕微鏡で観察しながら、このDNAと相互作用する、RNAポリメラーゼをはじめとしたDNAモーターの動きを計測する実験系の確立をおこなった。まず、蛍光色素YOYO1によって標識されたDNA1分子を長時間安定に観察する実験溶液の検討をおこない、35mM DTT,13%Sucrose,2mM MgCl_2を入れて十分に脱気したpH 7.8の20mM HEPES緩衝液が、30分以上にわたって、DNAの切断をおこさせることなく安定にYOYO1によって標識されたDNAを蛍光観察することが可能であることを確認した。DNAはその片端をビオチンによって修飾されており、ストレプトアビジンを介してビオチン修飾された直径ミクロンの微小ビーズと連結させることによって、片端に微小ビーズをもつDNAを調製することが出来る。このビーズを近赤外レーザーによってトラップし、実験槽内に定常的な水流をつくることでDNAを引き延ばし、蛍光標識されたDNAの長さを定量的に計測することが可能な実験系を確立した。RNAポリメラーゼは転写活動の際に、DNA2重鎖の水素結合を破断しながらDNA上を進むが、この際に、YOYO1も解離することが予想されるので、YOYO1によって標識されたDNA長の短縮を計測することで、RNAポリメラーゼの転写反応の進行を可視化することが可能である。長さ方向を回転軸としたDNAの回転運動を同時に計測することで、RNAポリメラーゼの転写反応とDNAの回転運動のカップリングを明らかにする予定である。
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