研究概要 |
本研究では分裂酵母における減数分裂制御系の解明を目的として、減数分裂の開始と進行に必須のRNA結合タンパク質Mei2pの機能解析を行っている。Mei2pは核と細胞質をシャトルしながら減数分裂を誘導した後、RNA分子meiRNAと結合して核内で点状構造を形成する。Mei2pは減数分裂の複数の時点で必須の機能を果たしており、Mei2pと遺伝学的に相関のある因子を単離するためには、一部の機能のみに欠損のある変異型Mei2pを得る必要があった。昨年度までに、複数の新規Mei2p変異株を得ていたが、今年度これらがMei2pのどの機能に欠損があるのか調べるとともに、新たなMei2p変異の単離を引き続き行った。その結果、既存のMei2p変異とは異なる機能に欠損がある新規Mei2p変異を複数得た。これらの変異体を用いて、多コピー抑圧因子のスクリーニングを行っている。 Mei2pが核内で作る点状構造体が、meiRNAをコードする遺伝子座に位置することを明らかにした。 昨年度、Mei2pと直接相互作用するRNAをコードする遺伝子の候補として、meu3,meu19を得ていた。両遺伝子は減数分裂特異的に転写誘導されるRNA分子をコードしていたが、その転写が減数分裂に必須の転写因子Mei4pに依存的であることが明らかとなった。meu3,meu19は減数分裂に必須ではなかったが、meu3,meu19破壊株では減数分裂時の組換え率が低下していることが示された。meu3,meu19遺伝子は三番染色体の両端に逆向きに位置しており、両遺伝子産物は3'側の一部以外、完全に同一の配列をしていた。これらの特徴的な配置、構造と組換え率の低下、Mei2pとの関係について解析を進めている。
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