研究課題/領域番号 |
13780613
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
東田 千尋 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助手 (10272931)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 軸索終末 / 軸索輸送 / mRNA / Axomer / 神経回路網 |
研究概要 |
本研究は、胎生期のラット脳において神経細胞の軸索内を輸送されるmRNAの存在を証明することと、それらの配列、構造、機能の検討により、軸索の形成・成熟をもたらす因子、特に未知因子について明らかにすることを目的としている。さらにそれらが神経回路網形成を促進させ得るかどうかを調べ、痴呆に代表される成熟脳の神経機能低下に対し、その回復への応用をはかる。昨年度は、軸索終末サンプルとして成長円錐画分を生化学的方法により分離し、その中のtotal RNAを材料にして任意配列プライマーの組み合わせによるRT-PCRクローニングを行なったが、軸索終末サンプルの純度を高める必要性が示唆された。そこで本年度は初代培養したラット大脳皮質神経細胞の1個から、軸索終末部をマイクロピペットで吸引し、total RNAを抽出し、あらゆる配列のmRNAをクローニングできるprimerを用いたrandom PCR-based cDNA cloning法を組み合わせ、軸索終末に発現するmRNAを網羅的に同定する方法を考案し実行した。(=Single Axonal Teminal-Random cloning)。10個の軸索終末から、軸索に発現するmRNAの候補として12クローンを単離した。それらが軸索に局在することを、in situ hybridizationと、軸索マーカーであるリン酸化型neurofilament-Hに対する免疫染色を組み合わせ検討し、9個のmRNAを同定した。これらはいずれも未知配列でありAxomer-1〜-9(Axonal messenger RNA)と命名した(Gene Bank accession No. ABO97851-ABO97859)。この結果により、これまで軸索内mRNAとして報告されている3つの細胞骨格タンパク質以外にも、軸索終末に局在して何らかの機能を果たすmRNAが、ラットの大脳皮質神経細胞において少なからず存在することを示すことができた。現在、同定されたAxomers mRNAに関して、全長配列のクローニングを進行中である。今後は、(1)コルヒチン処理によるAxomers mRNAの軸索局在の変化の検討、(2)軸索輸送に関わるmRNA自己配列内の特定、(3)輸送に関わる自己内配列に対するantisense oligomerを神経細胞に処理することによる、軸索輸送されるmRNAの機能と意義の解明、に関してさらに実験を重ね、本研究の目的を遂行する。
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