研究概要 |
[1]非免疫抑制性イムノフィリンリガンドの薬理作用 (2)抗酸化作用以外の薬理作用の検索;イムノフィリンリガンドの神経保護作用の分子機序を明らかにする目的で,(2)タンパク質品質管理機構に関する作用に着目した.ウエスタンブロット法にて,HSP60,HSP70,HSP90のタンパクならびに遺伝子発現におよぼす影響を評価したが,顕著な効果を見いだせなかった. (3)各種ストレスに基づく神経細胞死に対する保護作用の分子機序解析;α-シヌクレイン過剰発現株を用いて検討した結果,FK506,GPI1046,V10367,rapamycinの4つのFKBP-bindingイムノフィリンリガンドは何れもα-シヌクレイン過剰発現によって認められる細胞生存率の低下を抑制できなかった. [2]ニューロイムノフィリンの機能解析 (1)ニューロイムノフィリンの神経保護作用への関与;FKBP12,FKBP25,FKBP38,FKBP51,FKBP52/59,FKBP65の内在性の遺伝子発現をSH-SY5Y細胞とU251細胞を用いてRT-PCR法で検討したところ,U251細胞はFKBP12の遺伝子発現を確認できなかった.そこで,過酸化水素による実験系での細胞生存率と,それぞれの正常細胞を用いたグルタチオン増加作用を指標に検討したところ,どちらの細胞でもFK506,GPI1046共に同様の効果を示した.したがって,少なくともこの実験系において,FKBP12はイムノフィリンリガンドの神経保護作用に寄与しないことを明らかにした. [3]ニューロイムノフィリンに関連する神経保護薬の新規候補物質の探索 (1)新規候補物質の作成とスクリーニング;ニューロイムノフィリン結合性候補物質を22種類作成し,神経栄養因子活性化作用を指標に検討した結果,12種類の化合物で何らかの効果を示した.
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