研究概要 |
シナプトタグミンはマウスにおいて遺伝子レベルで少なくとも13種類のアイソフォームが存在することが知られているが、シナプトタグミン1以外のアイソフォームの機能、組織分布及び細胞内局在はほとんど明らかにされていない。そこで本年度は三つの異なるサブグループに属するシナプトタグミン4,5,7に対する特異的な抗体を作成し、その詳細な組織分布および細胞内局在を検討した。その結果、これら三種類のシナプトタグミンは異なる組織分布を示すだけでなく、同一の細胞においても(PC12細胞)全く異なる細胞内局在を示すことが明らかとなった。すなわちシナプトタグミン4はゴルジ体に、シナプトタグミン7はトランスゴルジネットワークに、そしてシナプトタグミン5は有芯顆粒上に存在していた(Biochem. J. (2002)365,173-180;J. Biol. Chem. (2002)277, 24499-24505;J. Biol. Chem.(2003)278,in press)。これらのシナプトタグミンはいずれも6つのドメイン(細胞外アミノ末端ドメイン、膜貫通領域、スペーサードメイン、C2Aドメイン、C2Bドメイン、カルボキシル末端ドメイン)から構成されているが、スペーサー領域ではアイソフォーム間の保存性が特に低くなっている。従って、シナプトタグミン4,5,7の細胞内分布の違いはスペーサー領域に起因するものと予想され、実際、欠失変異体を用いた解析からシナプトタグミン4分子においてはスペーサー領域がゴルジ体局在化には不可欠であることが明らかとなった。
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