研究課題/領域番号 |
13780646
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
小川 正 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50311197)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 注意 / V4 / visual saliency / サル / 視覚探索 / トップダウン |
研究概要 |
注意には、ボトムアップ性とトップダウン性の2種類がある。前者は白地のワイシャツに付着したケチャップソースのように、目立つ刺激が入力されることよって起動される受動的な注意であり、後者は刺激の色や形など刺激がもつ特定の性質に対して選択的に関心を向けることによって起動される能動的な注意である。視覚情報処理の神経機構において、これら2つの注意成分が果たしている役割を調べるため、多次元視覚探索課題をサルに行わせてV4野からニューロン活動を記録した。 課題では2種類の色と形から成る刺激が注視点周りに6個呈示されるが、それらは色及び形次元で異なる刺激が1つずつ(目標、妨害刺激)と、同一の色と形をした刺激が4つから構成される。例えば、1つの赤四角、1つの緑丸、4つの緑四角。サルは色、または形次元で目立つ刺激に向かってサッカードを行うと報酬がもらえるが、どちらの次元で目立つ刺激を目標とするかは試行ブロック開始時に教示される。この課題では、ボトムアップ性の注意によって日標となり得るべき刺激は2つ(色、または形次元で目立つ刺激)にまで絞り込まれるが、2つの刺激から正しく目標を選ぶためには色(または形)次元に選択的に向けられたトップダウン性の注意が必要となる。 得られたニューロン活動を解析した結果、V4野ではニューロン活動がボトムアップ性とトップダウン性の注意成分により独立に修飾されていた。ボトムアップ性の注意機構により、受容野に色または形次元で目立つ刺激が呈示されたときは目立たない刺激が呈示された場合にくらべてニューロン活動が増強された。トップダウン性の注意機構は、ボトムアップ性の注意機構によるニューロン活動の増強作用を制御しており、刺激が目標となる特徴次元で目立つ場合はその増強作用がより強められたが、妨害となる特徴次元で目立つ場合はその増強作用が弱められた。探索するべき特徴次元が入れ替わるのに応じて、トップダウン性の注意機構によるボトムアップ性の注意機構に対する制御の効果は柔軟に変化した。
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