研究課題/領域番号 |
13780649
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 京都府立医科大学 (2002) (財)大阪バイオサイエンス研究所 (2001) |
研究代表者 |
横山 ちひろ 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90264754)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 学習セット / アカゲザル / 反応時間 / 陽電子断層撮影装置(PET) / 前頭前皮質 / 下部側頭葉 / 図形弁別課題 / マカクザル / PET / 前頭前野 / 問題解決 |
研究概要 |
本研究は、学習セットと名付けられた高次表象機能獲得能を学習機能系の変遷という視点から神経科学的アプローチにより解明するものである。まずアカゲザル(5-7才、6頭)に幾何学図形を用いた同時弁別課題を100新規刺激対からなる新規学習として経験させ、学習期の反応時間を検討した。各新規学習で正解率90%以上の基準に要する試行数は学習経験に依存して有意に減少し、いわゆる「学習セット」の形成が観察された。一方各新規学習で正解率90%以上の基準に満たない時期(学習期)の平均反応時間は学習経験に依存して有意に上昇した。以上の結果は、アカゲザルにおいて視覚弁別学習は学習経験に伴い質的に変化し、学習速度を短縮した学習セット形成後では異なる情報処理過程を用いている可能性を示唆する。次に陽電子断層撮影装置(PET)を用いた脳機能イメージング法により、学習セット形成前後における新規学習に関与する神経回路を調べた。PET装置内で課題遂行中のアカゲザル(4-5才、2頭)で[^<15>O]H_2Oの急速静注法にて脳血流画像を撮像し、経験初回および学習セット課題経験後の新規学習期に、対照運動課題に対し有意な活動を示す領域を画像統計解析により検出した。高次表象機能に関わると予想される前頭前皮質内では、経験初回学習で前頭眼窩皮質が、経験後学習で外側前頭前皮質がそれぞれ特徴的に活動していた。視覚領野は、経験初回学習でも経験後学習でも有意な活動が広く得られたが、経験後学習ではそれに加えて高次視覚連合野である前方下部側頭葉に有意な活動が得られた。体性感覚野、小脳、線条体の有意な活動は、経験初回学習でのみ観察された。以上のように柔軟な学習能力の獲得において、新規学習のための脳ネットワークが多彩な経験によって劇的に変化することが示された。
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