研究概要 |
本研究は,マルチスライス,CT像による早期肺がん候補の時空間的な特徴解析に基づいた質的診断技術を研究開発するものである.この診断技術は従来の画像診断を用いた診断能より優れた鑑別精度を目指すものであり,十分な医学的評価の後に早期肺がん候補の信頼度の高い非侵襲・非観血的な質的診断技術として臨床現場で活用できることを目標とする.そこで,以下の4つの課題を挙げて2年間で実施するものである.これらは,1.肺野小型腫瘤の時空間的な特徴解析アルゴリズムの研究,2.客観的な良悪性鑑別に有効な定量的特徴量の研究,3.時空間的な特徴量を用いた鑑別法の確立と質的診断技術の研究,4.臨床データを用いた質的診断技術の正当性の評価である.平成14年度は,重点的に3.及び4.の課題について実施し,マルチスライスCT像を入力して肺がん候補の良悪性鑑別結果を出力するまでの腫瘤のサイズ,内部濃度,発生部位別による分類処理,時空間的な特徴量抽出処理,良悪性鑑別処理からなる質的診断技術を研究開発し,これらの処理手順を統合した質的診断支援システムのプロトタイプの開発を行った.これらの研究成果をIEEE国際会議,MICCAI国際会議,SPIE国際会議で発表して非常に高い関心と評価を得ている.これらの成果から,マルチスライスCT像による早期肺がん侯補の時空間的な特徴解析に基づいた質的診断技術の実用化に向けてさらに研究を進めている.
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