研究分担者 |
浅野 照雄 広島工業大学, 工学部, 教授 (10089790)
西田 良平 鳥取大学, 工学部, 教授 (90027269)
林 春男 京都大学, 防災研究所, 教授 (20164949)
山本 春行 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (60158293)
岩井 哲 広島工業大学, 工学部, 助教授 (60184850)
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研究概要 |
(1)本震前後の地震活動調査と地殻変動調査の結果,鳥取県西部地震と本地震の活動にはほとんど相関性がなく,本地震がフィリピン海プレートの先端部で生じた正断層運動であることが分かった.また,重力測定と常時微動観測に基づき,広島の基盤構造と地震被害との関係に言及できた. (2)アンケート震度調査の結果,計測震度とアンケート震度との相関性は高く,回帰式は鳥取県西部地震の結果と共通することを明らかにできた. (3)呉地区,河内町-本郷地区および東広島市西条南地区の地盤被害を調査し,前2者については地形・地質と地震動・被害の特徴にかなり高い相関性があるものの,西条南地区においては,被害の程度と地震動の大きさとの関連が低いことが分かった. (4)広島市西部の木造住宅瓦屋根被害分布より,切土地盤では被害が少なく,逆に盛土地盤では被害が多い傾向のあることが認められた.また,地盤の常時微動調査結果より,盛土・切土の差異を物理的に評価する可能性を探った.土木構造物では,床掘置換工法を採用している港湾施設での被害と風化した道路斜面花崗岩の表層部分の崩壊,JR高架橋被害に対する今後の検討が重要であることを指摘した.また,広島県下の上水道配水管の被害および復旧経緯と都市ガス供給施設・導管網の被害ならびに広島ガスの災害対応について調査を行った. (5)呉市の「災害弱者」に対する調査から,すまいの補修とガレキの撤去,こころとからだのケア,人とつながって安心感を得ることなどが重要であることを明らかにできた. (6)過去の測量データより断層運動に対する比較を行い,1905年芸予地震の震源域は今回ほど深くないことが推察できた.また,広島地域における半壊住宅戸数にはほとんど差がない反面,今回の全壊住宅数は1905年のときに比べて約半数である.この原因が地震動特性の差異によるものか,住宅の耐震性能によるものか,現時点では不明である.
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