研究課題/領域番号 |
13831006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 誠 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (50195210)
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研究分担者 |
時田 恵一郎 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (00263195)
茶碗谷 毅 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (80294148)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 生態系 / タンパク質 / 進化 / 相空間 / 力学系 / 自由エネルギー景観 / 分子モーター / 大変形 / 自由エネルギー構造 / 格子モデル / 安定性 / 共生 / レプリケーター方程式 |
研究概要 |
本研究課題では、生態系とタンパク質の両者を対象として、進化によって構築された相空間の構造を理解するための研究を行なった。 大規模生態系については理解が非常に進み、生態系の安定性とそこで現出する種間相互作用の構造について以下のような成果を得た。(1)ランダム相互作用を持つレプリケーター方程式系が反対称相互作用を持つ場合には多数の種が安定に共存できることを明らかにした。これは数理生態学における「メイのパラドックス」に対する最初の反例となっている。また、こうして出現した安定な生態系では、階層的な食物連鎖構造が創発的に選び出されていることがわかった。(2)絶滅、侵入および突然変異を取り入れ拡張したレプリケーター方程式を、種多様性の動態を表す最も簡単なモデルとして提案した。また、生態系のような複雑なダイナミクスを内包した力学系モデル全般の基礎的研究として、長時間持続する状態間を断続的に遷移する現象に注目して、解析をおこなった。その結果、これまで知られていなかった機構によるカオス的な性質をもつ準安定状態の形成、およびそれに伴う準安定上体間の断続的な遷移現象を見つけることができた。タンパク質については、モータータンパクのひとつである。キネシンの自由エネルギー構造の計算に力を注ぎ、簡単なモデル相互作用について、熱平衡状態の完全な計算に初めて成功した。その結果、天然構造付近での自由エネルギー構造を調べることができ、もっとも大きな揺らぎがスイッチ領域に局在していることを明らかにした。すなわち、キネシンの天然構造から決まる自由エネルギー構造には、スイッチ領域が大きく揺らぐという性質が自動的に埋め込まれているということであり、進化的に構築された自由エネルギー構造と機能の関係の一端を明らかにしたといえる。
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