研究概要 |
1.パルスタイミングによる非線形ダイナミクスを利用した画像処理LSIの開発 振動子の位相同期により画像領域分割・抽出を行う振動子ネットワークLSIをアナログ・デジタル融合/混載アーキテクチャを用いて開発した。このLSIでは,非線形ダイナミクス回路をパルス変調回路で,荷重記憶・制御部をデジタル方式で実現している。 2.パルスタイミングを用いる脳型情報処理回路のためのアルゴリズムの開発 スパイキングニューロンモデル(積分・発火型)を,フィードバック型ネットワークに適用し,パルスタイミング処理による高速化を実現した。この処理の基本思想は「重要な信号が時間的に早く到着することを利用して,重要な結果を早く得る」ことにある。この場合,先に発火した信号がフィードバックしてきたものと,遅く発火した信号の区別がつかないという問題がある。そこでこれを,ランプ型抑制を行うグローバルニューロンと,発火によりその影響をリセットする機構を導入することで解決した。このモデルに基づく集積回路を設計し,回路シミュレータ(HSPICE)により,モデルの検証を行った。ホップフィールド型ネットワーク(20ニューロン)での連想記憶において,同期型のパルス幅変調方式と比較したところ,パルスタイミング方式が約20倍高速であることを確認した。 3.多重ナノドットMOSFETを用いたスパイキングニューロン回路の設計 ポストCMOS世代での回路設計技術として,ナノテクノロジーによる自己組織化技術によりナノドットを形成する手法を利用して,効率的かつ超低消費電力でPSP発生を行えるスパイキングニューロン回路を考案し,単電子回路シミュレータにより,設計・検証した。
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