研究課題
基盤研究(C)
本研究は、従来朝鮮史の中で冷遇されてきた女性史のなかでも、さらに研究対象として、長い間正当な扱いをされてこなかった「新女性」を対象に、植民地下朝鮮女性の主体形成における民族と個人の相克、セクシュアリテイーにおける平等の追求、伝統と近代の問題などを中心に歴史的接近を試みたものである。植民地期主として1910年代から30年代の朝鮮で、新教育や留学を通して近代的思惟と新しい生活スタイルを受容した「新女性」たちの思想と行動およびその歴史的意義を明らかにするため、(1)韓国における「新女性」研究の新しい動向の把握、(2)いまだ概念がきちんと規定されていない「新女性」の概念と範囲の確定、(3)「新女性」が創出される歴史的過程、(4)「新女性」が刊行した啓蒙的女性雑誌を中心に彼女らの行動と思想の位置づけ、(5)当時の家族制度の中での初期「新女性」(羅〓錫・金一葉・尹心悳等)の自由恋愛論・自由結婚論の歴史的意味、(6)多くの「新女性」たちが形成を目指した「新家庭」の土台たる「賢母良妻主義」とその「良妻賢母主義」への変容、等々を検討した。植民地朝鮮社会は、「新女性」に対し、近代化された「新家庭」を樹立し、民族と国家自立のための次世代の母たることを要求した。初期「新女性」たちは、自我の権立を重要視し、恋愛・結婚においては、sexuarityにおける男女の完全な対等を要求したことで、厳しい社会的批判にさらされ、挫折をよぎなくされた。一方、多くの「新女性」は「賢母良妻主義」を土台に進歩的・合理的な「新家庭」を建設し、民族的・社会的要請に応えることで自己実現をはかろうとした。しかし1930年代後半以降の戦時体制下で、国家への奉公を究極の目的とする日本帝国の「良妻賢母主義」へと変質を迫られた。
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