研究課題/領域番号 |
13852004
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前野 悦輝 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (80181600)
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研究分担者 |
石田 憲二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90243196)
矢口 宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30314173)
中辻 知 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70362431)
山田 耕作 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90013515)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
118,950千円 (直接経費: 91,500千円、間接経費: 27,450千円)
2005年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2004年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2003年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2002年度: 33,410千円 (直接経費: 25,700千円、間接経費: 7,710千円)
2001年度: 63,310千円 (直接経費: 48,700千円、間接経費: 14,610千円)
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キーワード | スピン三重項超伝導 / ルテニウム酸化物 / Sr_2RuO_4 / 奇パリティー / 核磁気共鳴 / 時間反転対称性 / 強相関電子系 / 超伝導ギャップ / Sr2RuO4 / コバルト酸化物 / アンドレエフ効果 / 磁化 / 走査型顕微鏡 / カイラル超伝導状態 / ナイトシフト / 銀酸化物超伝導 / モット絶縁体 / モット転移 |
研究概要 |
本研究では、スピン三重項の電子対からなる超伝導状態が現実に存在することを、多角的かつ緻密な研究成果の集積によって確定的にし、広い認知を得た。超伝導体Sr_2RuO_4を軸にした集中的な研究から、現代の超伝導研究の鍵となる基本概念に関しても、多くの新たな知見を獲得することが出来た。 (1)全てのバンドの超伝導ギャップ構造の確定:精確に方位制御した磁場中での低温比熱測定から、超伝導ギャップがフェルミ面(バンド)ごとに大きさ・異方性が異なることを明らかにした。その物理的要因についても、スピン三重項p波の対称性と一部のバンドの磁気揺らぎで理解出来た。 (2)三重項スピン状態の決定:核磁気共鳴(NMR)による電子スピン磁化率の測定から、電子対スピンはゼロ磁場ではRuO_2面内にあること、また印加磁場に応じて方向を変えることから、スピン異方性を生む相互作用が非常に弱いことも明らかになった。 (3)奇パリティーの検証:Sr_2RuO_4と従来型s波超伝導体のAuInとの接合ループの臨界電流測定から、「π接合SQUID(超伝導量子干渉素子)」と呼ばれる半整数磁束の発生を観測し、Sr_2RuO_4の超伝導波動関数が奇パリティーをもつことを直接的に検証した。 これらから時間反転対称性を破るカイラル三重項超伝導状態であることを確定できた。また、超伝導内部自由度に基づく新奇現象として、磁場中での超伝導多相現象も観測した。 (4)強相関電子系の超伝導メカニズムの理論構築:3次以上の摂動計算により、クーロン斥力(強相関効果)による超伝導メカニズム理論の構築に成功した。この理論で、Sr_2RuO_4については実験に準拠した3バンドの電子構造をふまえて、スピン三重項p波状態が安定であることを示した。 また銀鉛酸化物の新超伝導体の発見、Ca_<2-x>Sr_xRuO_4におけるモット転移と軌道秩序、Sr_3Ru_2O_7のメタ磁性量子臨界現象など、関連物質系での研究成果も数多く挙げた。国際シンポジウム「スピン三重項超伝導とルテニウム酸化物の物理」を主催し、海外8カ国からの23名を含む約100名の、当該分野で活躍中の研究者をほぼ一堂に集めて、成果発表と今後の研究展開についての集中的な議論をおこなった。
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