研究課題/領域番号 |
13874018
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 知之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (80211811)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 孤立波パターン / Swift-Hohenberg方程式 / 六角パターン / 多重安定 / 粉粒体 / Conley指数 / 大域分岐図検証 / 孤立パターン / 粒流体 |
研究概要 |
粉粒体の現象などに現れる特徴的なパターン形成・発展に動機付けされて、多次元孤立波パターンを持つような現象論的モデル方程式を解析した。それによって、(1)孤立波パターンは分岐論的には複合モードとして現れることが明らかになった。また、(2)大域的な分岐構造を解析する道具を構築した。 (1)粉粒体の多次元パターンの数理的な解析がほとんど行われていないのは、まずは基礎方程式がないからであるが、流体のパターンからの対比でいくつかの縮約方程式が提案されている。スウィフト・ホヘンバーグ方程式は、熱対流のロールパターン形成の縮約モデルであるが、振動場での粉体のパターン形成などとの関連性が指摘されている。熱対流の通常の問題(レイリー・ベナール対流)では六角パターンなどの複合波は安定には存在しないことが知られているが、これに対して振動場の流体や粉体では振動周期によって異なる周期パターンが安定に観測される。一番簡単な場合には5次の非線形性を持つスウィフト・ホヘンバーグ方程式に帰着され、それによって説明される。すなわち周期解の構造をモード相互作用により調べると、3次のときより分岐構造はより豊富で、六角パターンなどの安定性が示された。より詳しくはたとえば亜臨界的に複合モード解が分岐し比較的広いパラメーター領域で分岐枝が階層的にターニングした複合モードが安定に得られた。これにより数々の複合モードや単一モードまた定数状態が同時に安定である状況もあり、粉体の実験グループが見つけている孤立波パターンなどと関連するのではないかと考えられる。これらは、現在整理して投稿準備中である。 (2)孤立波パターンは一般に大振幅なので弱非線型的に局所分岐理論では捉えられない。(1)でも述べたが大域分岐図を求めることがとりわけ重要であるが非線型系の大域的な状況を厳密に理解するのは難しい。そのために、大域分岐図を数値検証する方法を提案した。計算機により数値的に得られた分岐図を厳密に検証することをConley指数という位相的方法を用いて行った。解をガレルキン近似した有限次元部分と無限次元部分に分けて孤立化近傍を区間演算を用いて計算機で構成する。対流のパターン形成の単純モデルであるスウィフト・ホヘンバーグ方程式で、実際に大域分岐図の検証を行った。またこれは、通常の数値検証法と異なり、平衡点の安定性次元まで込みで検証できるという利点がある。このうち部分的な結果は下記のように発表予定である。大域分岐図を検証するには平衡点の存在のみならず一意性や分岐図以外の解の非存在なども示さなければならないが、これらを包括した結果は現在投稿準備中である。
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