研究概要 |
(1)フェノール酸素を橋架け基として共有して、'salen'類似のN(imine)_2O_2サイトと'salen'を還元したタイプのN(amine)_2O_2サイトを交互にマクロ環内に配置させた大環状四核化コンパートメント配位子を設計合成して、Cu_2M_2(M=Co, Ni, Zn)混合金属四核錯体を合成した。構造解析によって、Cu_2Ni_2錯体は不完全ダブルキュバン構造、Cu_2Co_2及びCu_2Zn_2錯体は'Dimer-of-dimers'構造を有することを確かめた。この配位子のCo_2M_2(M=Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn)錯体は、1つのCo(II)は低スピンもう1つのCo(II)は高スピンとなった珍しい混合スピン混合金属錯体を与える。Co_2Ni_2及びCo_2Zn_2錯体の構造解析から、これら錯体は{CoM_2}ユニットと{Co}ユニットからなり、前者のユニットではCo(II)が高スピン6配位となることを確認した。この配位子の四核Ni(II)錯体は、Tc=14.5K以下で秩序磁性を示すことを見い出した。 (2)標記配位子のアルカン鎖をメチレンからトリメチレンに置換した大環状四核化コンパートメント配位子の四核銅(II)錯体は、対イオンによってコア構造の可変を示し、構造解析及び磁気測定から'open'【double arrow】'folded'の可逆的変換を確かめた。 (3)4分子の3-アミノメチル-5-メチルサリチルアルデヒドを環化縮合させて新規な四核化大環状コンパートメント配位子を鋳型反応で合成した。この配位子を用いて、4つのNi(II)を平面正方に配置させ、中央にμ4-ヒドロキソ又はμ4-オキソをもつユニークな錯体を合成した。これら錯体では、隣接するNi(II)間に強磁性的相互作用を、対角するNi(II)間には反強磁性的相互作用を観測した。
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