研究概要 |
キャピラリー遠心クロマトグラフィーは,分離カラムにコイル状キャピラリーカラム(内径0.6mm)を用い,回転円盤上にカラムを取り付け,回転軸からカラムに試料溶液を注入しながら円盤を高速回転させると,カラム中を移動する目的成分が遠心力とコリオリ力の作用を受け,成分の質量差による分離ができる新たなクロマト法である。 (1)連続遠心機のローター部にコイル状カラムのホルダーを取り付け,回転時にバランスが取れるように装置の調節をくり返した。また,定速回転時に試料落液をカラムに送り込む注入口のインターフェースを試作した。 (2)定速回転時に試料溶液をカラムに送り込む流速実験をくり返した。低速回転では注入口のインターフェースの部分からの液漏れはわずかであったが,高速回転(1000rpm以上)になると液漏れとバランスが取れなかった。 (3)成分相互の分離挙動を現出するためには,5000rpm以上の高速運転を可能にしたいが,現在まで決定的な解決に至っていない。 (4)流出時間に差を出すような高速回転に対応するインターフェースが,本法の鍵となるので,連続遠心機のローター部に取り付ける円盤及びキャピラリーカラムをコイル状に固定するためのホルダーとカラムの一端を回転盤の中心軸に合わせための装置として,市販の遠心向流クロマトグラフィー装置の既存構成を取り入れるべきものと考えている。 (5)低速回転での実験では,流出時間に明らかな差がまだ得られていないけれども,キャピラリー遠心クロマトグラフィーを構築するために更なる実験を継続中である。
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