研究課題/領域番号 |
13874104
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前川 光司 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (80002301)
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研究分担者 |
後藤 晃 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30111165)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 行動の遺伝 / サケ科魚類 / 繁殖行動 / 大型水槽 / 体色変化 / スニーカー / 行動観察 |
研究概要 |
動物の行動が遺伝するかどうかという研究は、進化生物学においてきわめて重要であるが、その多くはジョウジョウバエ等の小動物で行われてきた。本研究は、行動観察が困難でかつ大型の動物の一つであるサケ・マスを用いて、その繁殖行動の遺伝的研究の技術開発を行おうとするものである。本年度は、総延長10mに達する魚類行動観察用の大型水槽を、申請者が所属するセンターの職員の協力を得て建設した。本水槽を用いて、以下のような結果を得た。1.本水槽は、大型魚類の繁殖および摂食行動の観察に有効であることが確かめられた。2.いくつかのサケ科魚類では、河川残留型において産卵行動中の著しい体色の黒化が観察されている。サクラマス(Oncorhynchus masou)において、メスの行動、残留型間の攻撃行動が残留型の体色の黒化にどのように影響するか調べた。残留型はメスの産卵行動の進行につれ著しく黒化した。残留型間の闘争においては体サイズが大きく、活発で高順位の個体ほど黒化の程度が大きかった。このことから残留型の体色の黒化には、体サイズ依存的な残留型の強さが大きな要因になっていると考えられた。また、体色の黒化と繁殖成功は正に相関する傾向が認められた。3.然別湖産サクラマス(降湖型サイズ小)と洞爺湖産サクラマス(同大)の産卵行動を比較した。然別湖産降湖型オスは用いた11尾中2尾に、残留型(スニーカー)への強い攻撃行動が観察されたが、洞爺湖産降湖型オスではすべての個体が強い攻撃行動を示さなかった(N=12)。両個体群間において行動の違いが生じた要因として、(1)残留型と降湖型のサイズの違い、(2)行動様式の遺伝的差が考えられた。
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