研究概要 |
MEMSトライボロジーにおいて,摩擦力や付着力の制御のためには,接触面の表面エネルギーを制御する事が必要である.そこで,環境制御型SEM内で冷却ステージにより,試料を冷却し,試験表面上の岬オーダーの液滴を観察することで,局所領域の表面エネルギーの評価を試みた.局所領域の表面エネルギーが決定されれぱ,面全体の表面エネルギーの分布の評価,いわゆる表面エネルギーのマッピングが可能となる. 昨年度,本手法の可能性が示されたので,本年はシリコンウエハ上に100〜500nmの厚さでアルミ薄膜蒸着し,フォトレジストを施すことで,パターン形状及び寸法を変化させた試験片を作成し,アルミ蒸着膜の部分とシリコン基板上の部分の表面エネルギーの評価を試みた.パターン形状は円形であり,パターンの直径は,30,50,70,及び120μmである.アセトン及びエタノールにより超音波洗浄された後に環境制御型SEM内で評価された. その結果,直径30μmのシリコン基板が暴露した円内の部分より,水滴の凝縮は開始し,その際の接触角は平均62°であった.この値は従来の巨視的な液適法で測定したシリコンの接触角とほぽ同程度の値である. 以上の結果より,本研究により直径30μmの微小局所領域の表面エネルギーの評価が本方法で可能である事が明らかになった.
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