研究概要 |
1.質量測定装置の設計・製作を行った.試作した装置は,つぎのような要素から構成されている. (1)反発力発生機構,(2)2物体を直線運動させるための軸受機構,(3)速度検出機構. 2物体間に反発力を発生させる方法としては,電磁プレス等に応用されている電磁衝撃力を利用した.具体的には,コンデンサに充電した電荷を瞬間的にコイルに放電し,コイルの近くに置かれた導体に誘導される渦電流とコイルに流れる電流との間に生じる反発力を利用した.電磁衝撃力を発生するための回路のスイッチング素子としては,IGPTを用いた.物体を支持する機構としては,繰返し測定を短時間で行えるように,エデンばねを用いた.その結果,従来の装置に比べて,すみやかに繰返し測定が行えるようになった.さらに,エデンばねを利用して,電磁衝撃力発生用コイルに給電する構造とした.これによって,2物体がスムーズに動くようにすることができた.また,速度検出機構としては,誘導起電力を利用したセンサを試作し,購入したレーザードップラ速度計を用いて校正を行った. 2.試作した測定装置を用いて,いろいろな質量を持つサンプルの質量測定を行い,測定精度を実験的に評価した.特に,繰返し測定が容易に行えるという特徴を生かして,繰返し回数と測定精度の関係について詳しく調べた.また,測定するときの反発力の大きさを変化させて同様の実験を行い,測定するときの物体の速度が精度に影響しているかどうかを調べた.さらに,基準質量の大きさを変化させて同様の実験を行い,2物体の速度比と測定精度との関係について詳細な検討を行った. 3.宇宙ステーションを模した柔軟構造物に試作した装置を固定し,柔軟構造物中で質量測定を実施した場合の測定精度を評価した.
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