研究概要 |
阪神・淡路大震災を契機として,災害からの救命を目的にした機器等の研究開発が行われるようになってきている.しかしながら,救命の主要な現場となる「がれき」に関しては,体系だった知見が得られておらず,機器を開発する上での要求仕様や評価の手法なども明示的にされていない. 本研究においては,「がれき」の工学的研究の枠組みの確立と,それに基づく機器開発等の促進を目的とした「がれき」のモデル化を目的にしている.本年度の主要な成果としては,拡張個別要素法に基づいた材木の接合部の破壊シミュレーションの手法の提案を行い,それに基づいた2つの粒度の異なるシミュレーション手法を連動させた家屋倒壊シミュレーションを開発した. また,ロボット等の機器を開発する際に必要となる「がれき」の定量的な特徴量の分析を行い,3つのタイプに分類し,それぞれに対して特徴量(がれきパラメータ)の定義を示した.さらに,がれき形成シミユレーションと連動して,がれきの形態のちがいによるがれきパラメータの変動を分析し,提案したがれきパラメータの有効性を検証した. こうした一連の研究の成果は,平成14年度に開始された文部科学省の「大都市大震災軽減化プログラム」における救命ロボット機器開発にも利用され,評価用のがれきフィールド構築における設計指標として利用をしている.
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