研究概要 |
申請した研究では計算機合成ホログラムにおいて,リアリスティックな立体像の合成に欠かせない、レンダリング技法の研究・検討を行うことを目的とした.特に、レンダリング技法の導入により,表示される立体像に隠面消去や陰影付け,金属やプラスティックなどの物体表面の質感や光沢などを立体像に付与することを中心として研究を行った. 平成13年度および14年度の研究によって,以下の成果をあげた. 1.ポリンゴンモデルで表された物体表面に乱数を基本とした方法によって,光の反射特性を付与する計算法を提案した.この計算法によって鏡面から完全拡散面までの様々な物体表面の質感が表現でき,よりリアルな立体像表示が可能となった. 2.ポリゴンモデルを対象として隠面消去法である「影伝搬法」を提案した.これにより,裏側が透けて見える現象を除去し,複数の物体が存在する複雑な情景の立体表示への道を開いた. 3.モデリング手法としてポリゴンモデルだけではなく,ボリュームデータモデルを対象とし,計算機合成ホログラムでのボリュームレンダリングアルゴリズムを提案した.これを医療用の3次元データに適用し,頭部立体像の表示に成功した.これには,上記の計算法が導入され,陰影付けや隠面消去などのレンダリングが実現されている. 4.上記の計算法により得られたデータをマイクロフィルムに印字し、ホログラムを製作する手法を確立した.これを用いて立体像表示の光学実験を行い,上記手法が原理的に有効であることを確認した.
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