研究概要 |
大都市部で排出される二酸化炭素をハイドレート化して地中に処分する方法ならびに,海底地盤内に二酸化炭素ハイドレートが形成された場合の海底地盤変形挙動を予測し,制御する方法について研究を行った。 まず,最もよく知られているガスハイドレートであるメタンハイドレート(以下,MH)を例としてハイドレートのせん断特性について低温高圧小型三軸試験を用いて調べた。MHは低温・高圧になるほど最大圧縮強度は増加する圧力温度依存性を示し,MHの方が一般的な氷よりも圧縮強度が高いことが分かった。また,MHはわずかな温度変化でも圧縮強度が著しく低下すること,メタンガスが抜けることによってMHはハイドレートの構造が崩壊して,一般的な氷と同等の強度しか発揮しなくなることが分かった。 次に,海底地盤の変形挙動については,昨年に引き続き大阪湾神戸沖で採取された不撹乱海底堆積粘土および再構成粘土を用いてひずみ経路制御方式の異方圧密試験を行い,自然堆積粘土地盤の圧密降伏特性について調べた。その結果,ひずみ経路制御方式においてKo圧密条件を再現した場合,ひずみ経路試験から得られた体積ひずみ(εv)-有効圧密圧力(p')関係は標準圧密試験から得られるe(εv)-log p'関係とほぼ一致する関係が得られ,体積ひずみが急増する応力(圧密降伏応力py')付近で圧密挙動が大きく変化することを明らかにした。このことから,ひずみ経路制御による圧密試験では従来の方式よりも簡単な方式でKo圧密試験が行え,しかも圧密降伏応力付近の圧密挙動を詳細に検討できた。また,不撹乱粘土と再構成粘土を比較した場合,両者の限界状態線(CSL)はあまり変わらないが,正規圧密線(NCL)は大きく異なり,不撹乱粘土の方がCSLとNCLの差は大きいことが分かった。これは不撹乱粘土の圧縮性が再構成粘土よりも大きいことやダイレイタンシー挙動の相違と関係することを明らかにした。
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