研究概要 |
1)前年度に我々は,「アシドロコンポスト化」と命名した生ゴミの微生物分解システムにおける微生物相を,主にPCR-DGGE (polymerase chain reaction-denaturing gradient gel electrophoresis)法を用いて解析し,同システムにおいて乳酸菌に属する細菌が主要微生物として長期間安定に存在していることを明らかにした.しかし同法には,DNA抽出やPCR増幅といった過程においてバイアスが存在するため定量性に欠けるという問題がある.また,単にDNAを検出しているだけであるため,すでに死滅した菌であっても検出されている可能性がある.そこでFISH (fluorescence in situ hybridization)法および定量的PCR法を用いる事により,コンポスト内微生物相の観察を行った.その結果やはり微生物の半数以上が乳酸菌であり,なおかつ活発に生育している事,また,その絶対数の経時的変動が確認できた. 2)生ゴミに含まれる過剰な油分はコンポスト化に悪影響を及ぼすことが一般に知られている.アシドロコンポスト化において油分の分解を促進させる微生物種もしくはそれらが生産する脂質分解酵素を獲得すべく,同コンポストからの菌体外リパーゼ生産菌をスクリーニングした.有望株が分泌する酵素の性質を調べた結果同酵素の生産するリパーゼは酸性領域にに至適pHを持つ,新奇性の高いものであることが明らかになった.
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