研究概要 |
本研究で開発を目的としている熱加工シミュレーション支援ナレッジシステムは、研究代表者が開発したシミュレーションソフトおよび既存商用ソフト(ABAQUS, MSC. Marc, SYSWELD, ANSYS, FINAS)を対象とし、これらを高度に利用するためのノウハウをインターネットを通して研究者、技術者に提供するものである。その構成要素は、各種要素モデル(物理モデル、幾何モデル、材料モデル、熱源モデル、積層モデル、境界条件モデル、評価モデル)と熱加工シミュレーション支援ナレッジを格納および発信するコンピュータシステムに大別され、これらについて平成14年度では、以下の研究を実施した。 (1)ナレッジベースのシステムの調査として、構造設計ならびにシステム設計分野で実績のある大学・企業の研究者と研究会を開催し、熱加工シミュレーション支援システムへの適用性を調査した。また、この調査結果に基づき、平成13年度において概念設計を行ったコンピュータシステムに対して、新たに、最新のインターネット技術である、ディレクトリ・サーバを導入したシステムの概念設計ならびに基本システムの構築を行った。 (2)対象を、TIG溶接による多層板継溶接に絞り、幾何、熱源、積層、境界条件、評価モデルを作成するために一連の数値シミュレーションを実施した。また、Inconel690合金を対象とした多層板継溶接時において問題となる、延性低下割れの問題について、本ナレッジシステムの適用性の検討を行った。 (3)曲面薄板構造物の溶接組立に対象として、これまで組立時のノウハウとして用いられてきた、ギャップや目違いを統一的に取り扱えるシミュレーションソフトを開発し、その適用性の検討を行った。
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