研究概要 |
本年度は,まず,昨年度製作した実験装置のアブレシブノズルとウォータージエットノズルの軸心合わせの精度を改善し,次に,カッティングスの詰まりを改善するために混合室の大きさの異なる三種類のノズルシステムを作製し,花崗岩に対して回転切削実験と送り・回転切削試験を行った.また,噴射方向の異なる二つのノズルを比較するために黄銅試料に対しても回転切削試験を行った.本年度に得られた主な研究成果は以下の通りである. 1)ガーネット砂を用いた黄銅試料に対する回転切削試験により,壊食量はウォータージェットのスタンドオフディスタンスよりはアブレシブノズルのスタンドオフディスタンスに依存し,アブレシブノズルのスタンドオフディスタンスが小さいほど壊食量が大きいこと,ならびに噴射角が7.5°のノズルの方が噴射角が25°のノズルよりも大きな切削深さが得られることを明らかにした. 2)花崗岩の回転切削試験により,本切削システムではカッティングスの循環システムがない場合に比較して約3倍の切削体積が得られること,ばらつきはあるもののアブレシブノズルのスタンドオフディスタンスとともに切削深さが大きくなるのに対して切削幅が小さくなるために,切削体積はあるアブレシブノズルのスタンドオフディスタンスで最大になること,さらには,回転速度が大きいほど研磨材として有効な粒径のカッティングスが多く生成されるために切削性能が向上することを明らかにした. 3)送り量を一定にして行った花崗岩の回転・送り切削により,本研究の範囲内では,送り速度が大きいほど単位時間あたりの切削体積が大きくなることを明らかにした.このことは,本切削システムのポジティブフィードバックが実際に機能していることを意味している.また,回転速度が一定の場合,送り速度が大きいほど有効に使われない大きなカッティングスがより多くなることから,送り速度に応じて回転速度を上げることによりさらに大きな切削速度が得られることを明らかにした.
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