研究課題/領域番号 |
13876003
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
作物学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯嶋 盛雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60252277)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 安定同位体水素 / 根圏 / 重水 / 植物根 / 土壌界面 / トウモロコシ / 土壌鞘 / 粘液分泌 / 安定同位体炭素 |
研究概要 |
植物根の表層部は粘液等の分泌物に覆われていることが知られている。この粘液層は水や無機塩の植物体への取り入れを介在する働きをもつだけでなく、土壌のさまざまな物理・化学的ストレスから根を保護することが示唆されている。粘液層は以上のような重要な働きを担うにもかかわらず、この層がどのような土壌条件においてどの程度根の表面を覆っているのかは全く明らかにされてはいない。本研究では、植物根の根圏土壌中での粘液分泌動態を視覚的に明らかにするとともに、根圏土壌内の安定同位体炭素および水素の濃度勾配から、分泌物の土壌中への拡散範囲を定量的に把握することを目的とした。 3ヵ年の研究で、植物根による根圏土壌中への粘液分泌動態をCCDカメラにより視覚的に捉え、分泌が日周変動することを明らかにした。さらに、トウモロコシを^<13>CO_2とD_2Oで暴露し、根圏土壌中に放出される安定同位体の存在量を分析し、土壌の乾燥条件下では炭素の放出量は増加するが、水の放出量は減少することを明らかにした。しかしながら根圏土壌内の安定同位体の濃度勾配については、根に付着した土壌鞘の外側への同位体の放出が確認できなかった。現行の方法論では、根の周辺部における根圏土壌と非根圏土壌を選別すること、言い換えれば根毛の発達により形成される土壌鞘と非土壌鞘の選別にはある程度時間がかかる。そのため、解剖顕微鏡下での土壌の選別作業中に土壌水が蒸発し、その結果同位体分別が起こっていることが推定される。そこで、飛行時間型2時イオン質量分析計により土壌表面における同位体水素の検出を試みることを新たな目標として設定した。そのための予備的な試みとして、トウモロコシをD_2Oで暴露し、根軸内での安定同位体の分布を調査しているところである。現状では、同位体が根全体に均一に分布する像しか得られていない。この理由は現状では不明であり、今後、異なる条件下で測定を繰り返すことにより、技術的な問題点を解明していきたい。
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