研究課題/領域番号 |
13876026
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 洋一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (20208606)
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研究分担者 |
新家 一男 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (20251481)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Kaitocephalin / Telomestatin / ビオチン化 / グルタミン酸レセプター / テロメラーゼ / テロメア |
研究概要 |
我々は、微生物代謝産物として単離した新規物質グルタミン酸アンタゴニストであるkaitocephalin、およびテロメラーゼ阻害物質telomestatinを用いて、各々のバインディングプロテインを見出すため、これら化合物のビオチンラベル化を進めた。Kaitocephalinはカイニン酸レセプターに対するアフィイニティーは弱いが、カイニン酸による神経細胞死は抑える。このメカニズムについて検討した結果、カイニン酸によるカルシウム流入、およびそれに起因する様々な細胞内カスケードは阻害しないことが判明した。グルタミン酸による神経細胞死にはカルシウム流入は必須であると考えられていたが、この結果は本仮説を真っ向から否定するものであった。本物質の生産量は極めて微量であるため、ラベル化のため合成によるサンプル調製を行い、全合成に成功した。また、本物質は大きく二つの部分構造に分類できるが、強い活性を維持するためには両部分構造が必須であることが判明した。 2つめの化合物telomestatinは、癌分子標的として最も注目されている一つであるテロメラーゼの阻害物質である。本化合物については、天然物より誘導体化が不可能であるため、全合成を行った。Telomestatinは環状の化合物であるが、全合成の中間体を用いて活性を検討したところ、telomestatinは一部開環していても活性を維持していた。そこで、現在この全構造および開環した部分へのビオチンの導入を進めている。Telomestatinは、活性発現メカニズムの解析の結果、テロメラーゼに作用するのではなくテロメア構造を認識することが判明した。この結果、telomestatinのテロメラーゼに対する特異性が論理的に説明可能となったが、正常細胞と癌細胞に対する効果の選択性は説明つかなかった、現在、合成により調製した化合物の癌細胞および正常細胞に存在するテロメア関連因子の同定を進めているが、この両者の差を見出すことにより、正常細胞一と癌細胞とのテロメア維持あるいは安定性に関わる因子の差巽について検討する予定である。
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