研究概要 |
スクレイピー罹患マウスの脳および対照として非罹患健常マウスの脳を採取し、テフロンホモジナイザーで処理した。低速遠心条件で細胞分画を行い、宿主核酸が含まれる核およびミトコンドリアを除去した。次に超遠心条件で細胞分画を行い、ミクロソーム画分を除去した。超遠心上清に、RNaseを加え、宿主由来の核酸を加水分解した。その後、核酸分解酵素を特異的に不活性化し、SDSとプロテネースKで処理した。罹患した動物組織の感染性を不活性化する方法として、強アルカリ処理、長時間プロテアーゼ処理などがあり、実験に使われた器具類は全てこの方法で処理した。 得られた核酸画分をもとに、遺伝子ライブラリーを作成した。 また、この画分をテンプテートとしたディファレンシャルディスプレイを、9種の下流プライマーと24種の上流プライマーを使って行った。結果をPAGEで解析し、バンドは放射性同位元素で標識した。この結果、スクレイピー罹患マウス脳で発現の増幅を認めた遺伝子断片を約100種同定した。この核酸断片を乾燥させたゲルから抽出し、特異的プライマーによる再増幅のあと、TAクローニングによるサブクローン化を行い、うち30クローンについて核酸配列を解析した。一方、プリオンタンパク質の生理学的存在意義を解析するため、プリオンタンパク質と同じく酸性pH凝集性を持ち、GPIアンカー型タンパク質であるGP2/THPの膜遊離機能を解析した。その結果、特異的なプロテアーゼが関与していることを明らかにした。また、脳変性疾患のモデルとして、キノリン酸毒性に関与する酵素ACMSDをクローン化し構造を決定した。 JBC Vol.277,No.38,pp.35162-35167(2002) BBRC Vol.289,pp.1044-1048(2001)
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