研究課題/領域番号 |
13876050
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川島 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30161318)
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研究分担者 |
新藤 純子 農業環境技術研究所, 地球環境部, 主任研究官 (40354063)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 酸性雨 / 中国 / 国際関係 / 汚染対策 / 日中環境協力 / 越境汚染 / 日本 / 政治と科学 |
研究概要 |
ヨーロッパにおいて越境大気汚染である酸性雨の防止のための排出削減の合意が成功した背景に、東西冷戦構造とデタントという要因があったと考えられている。1980年以降アジア、特に中国においても酸性雨による被害が明らかとなり、実態解明や対策・防止技術に関する調査研究が、中国独自、あるいは日本や欧米の先進国と共同で進められ、二酸化硫黄の排出量も近年減少の傾向にある。本研究では1970年代から現在までの、酸性雨に関する日中の認識や中国政府の対応の変遷、国際的な環境問題の趨勢、わが国の酸性雨対策や中国への働きかけおよび日中の政治的な関係などを歴史的に調査し、中国の酸性雨問題へ対する姿勢の変化の要因を考察した。中国では1970年代から現在まで、(1)問題発見・模索の時期(-1983)、(2)科学的解明の時期(1984-1989年)、(3)地球環境問題化の時期(1990-1994)を経て、(4)対策強化の時期(1995以降)へ至った。中国は1970年代から自国の酸性雨問題を認識し、その実態解明のための調査などを行ってきたが、経済発展が優先され、1990年半ばまでは実効性のある対策がとられなかった。1990年に入り地球環境問題への国際的な関心の高まりの中で、わが国は対中国への環境協力を推進するとともに、中国からの越境汚染を懸念し圧力を強めた。1990年代に戦争責任問題や人権問題など環境問題以外の政治問題によって日中関係が、また米中関係も悪化する中、中国は環境問題で他国との対立を避けることが必要であり、また「汚染大国」のイメージに危機感を抱いた。これらが、1990年半ば以降中国が酸性雨対策に積極的になった要因であると推察された。
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