研究課題/領域番号 |
13876051
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業土木学・農村計画学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 明 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10091604)
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研究分担者 |
泉 完 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (60132007)
佐々木 長市 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30162374)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 水環境 / 水質浄化 / 排水路 / 地域資源 / ホタテ貝殻 / 生活雑排水 / 循環利用 / ホタテ貝 |
研究概要 |
本研究は、農村地帯における水環境の悪化を把握し、農業排水の再利用や生活雑排水が混入する水路の水質改善、排出先の河川などへの負荷軽減を目的として、青森県特産であるが、貝殻の処理に困っているホタテ貝殻を接触ろ材に用いた水質浄化の可能性と実用化について検討したものである。 初年度、2年目は学内で水槽(容量651、貝殻約150枚)と水路(長さ6.2m、幅12cm、高さ12cm、貝殻役1,100枚)を用いて浄化実験を行い、各々12回と9回の実験結果の平均値から経過時間と浄化率(COD、T-N、T-P)の関係を示した。経過時間10時間で水槽実験ではCOD:40%、T-N:15%、T-P:30%、水路実験ではCOD:10%、T-N:10%、T-P:20%の浄化率を示した。これと平行して、既設の排水路2ヶ所にホタテ貝殻を入れた篭をそれぞれ50基(約20,000枚)設置した。調査は4月下旬から毎週1回の定期調査(計28回)を行い、上・下流の水質濃度を分析したが、滞砂やごみの堆積のため思うような浄化効果を示さなかった。そこで、ごみ等を除去した後で実験区間(約40m)上流部にスクリーンを設置し、24時間集中調査を行った結果、上流部の宅地から生活雑排水が混入するA排水路では接触時間100-600秒でCOD:5%、T-N:9%、T-P:10%の平均浄化率を示した。既存の水路では滞砂やごみの対策が浄化効果を左右することが確認された。 平成14年度、青森県では本研究を基にした浄化水路を建設した。浄化水路の構造は既設排水路からごみ等が流入しないようにサイフォンで接続し、水路上流部に沈砂池を設けた。浄化水路は全長102m、幅1.0m、高さ50cmの2レーンでホタテ貝殻と木炭を接触ろ材に使用した。蛇籠は70^*40^*15cmの三段一組とし、各水路に150基、ホタテ貝殻の場合は一基約1,250枚(合計187,500枚)の貝殻を詰めた。今年度の定期調査では流量や濃度に変動があり浄化率にばらつきが見られたが、10月に行った48時間集中調査(採水1時間間隔)ではホタテ貝殻でCOD:32%、T-N:29%、T-P:40%、木炭でCOD:29%、T-N:17%、T-P:45%の平均浄化率を示した。本研究により、ホタテ貝殻を接触ろ材に用いた水質浄化は有機物質や栄養塩類の除去に効果が高いことを実証した。この方式が実用化されれば、現在産業廃棄物であるホタテ貝殻も地域の有用な資源となり得る。
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