研究課題/領域番号 |
13877045
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 宣之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40150883)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / コア蛋白質 / 遺伝子増幅 / フレームシフト |
研究概要 |
本研究ではHCVゲノムのコア蛋白質をコードする領域に存在するORF2は既報のウイルス株間で良く保存されていることから、このORF2から実際に蛋白質レベルまで発現しているかどうかを明らかにすることを目的として、HCV陽性の肝がん組織に存在する多数のHCVゲノムのコア蛋白質をコードする領域について構造解析を行い、以下に示すような結果を得た。HCVゲノムをRT-PCRにより増幅の際、塩基の欠損や読み間違いが高頻度に起こると結果の解釈を誤ることになるので、本研究では、高い3'→5'エキソヌクレアーゼ活性(Proofreading活性)を有する耐熱性のKOD-plus DNAポリメラーゼを用いて、HCVゲノムのコア蛋白質をコードする領域を増幅した。4例の肝癌患者由来の癌部および非癌部を対象として用いて、それぞれの増幅産物から独立的に得た200クローン以上の遺伝子解析を行った。その結果、Proofreading活性のないTaq DNAポリメラーゼを用いた従来の解析によりこれまでに報告されていたような結果とは異なり、ヌクレオチドの欠損や終止コドンの出現はまったく認められず、癌部と非癌部におけるHCVの準種(quasispecies)の状態にも差がみられないことが判った。しかし、ORF2が翻訳されると当初予想していたような開始コドン下流における1塩基の欠失はまったく認められなかったことから、ORF2が直接的に翻訳されるようなゲノム構造を有するHCVは存在していないか、或いは存在していても非常に低頻度であると考えられた。しかしながら、このような遺伝子解析の過程において、9番目のコドンがAGA(Arg)からAAA(Lys)に置換しているクローンが6個得られた。この転移型置換により、これら6個のクローンではコドン8〜11においてA8〜10個のユニークなAストレッチ構造となっていた。最近、別のグループによりこのようなAストレッチ構造が-2/+1のリボゾームフレイムシフトを引き起こして、ORF2が翻訳される(F蛋白質)ことが明らかにされていることから、我々が得たクローンについてもリボゾームフレイムシフトによりF蛋白質が産生されることが示唆された。162アミノ酸から成るF蛋白質のなかで、HCV株間で比較的保存されていて、B細胞エピトープになると期待されたペプチド配列(18アミノ酸)に対する抗体をウサギにて作成することができたため、現在、Aストレッチ構造を有するクローンを培養細胞に導入してF蛋白質の検出をWestern blot法により試みている。
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