研究課題/領域番号 |
13877085
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉川 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50230701)
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研究分担者 |
高橋 淑子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (10183857)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 胚性幹(ES)細胞 / ニワトリ初期胚 / 胚様体 / 肝細胞 / 胚体内内胚葉系細胞 |
研究概要 |
ドナー肝の不足は肝移植治療普及の大きな障害である。本研究は、マウスES細胞をニワトリ初期胚の肝臓原基領域(前腸)内に移植し、トリ肝発生の自然のプログラムに同調させてマウス由来の細胞から3次元的かつ機能的肝臓を形成させることを目的として計画した。あらかじめGFP蛍光標識したES細胞より作製した胚様体をトリ胚前腸腹側上皮部に移植したところ、形成されつつあるトリ肝臓内にマウス細胞に由来することを示すGFP蛍光を発する細胞が存在した。肝細胞や赤血球系細胞は自然自己蛍光を発するが、それらとは異なる強い蛍光で、陽性細胞の一部は幼若肝細胞様であった。血液系と思われるGFP陽性細胞も存在した。Feulgen染色によるマウスおよびトリ細胞の識別も取り入れ、現在マウスES細胞由来の分化細胞のキヤラクタリゼーションを行っている。 さらに、本研究過程で、ES細胞はin vitroでも胚体内胚葉系細胞に分化させ得ることが判明した。本研究申請準備中の平成12年10月時点においては、ES細胞が外胚葉、中胚葉系細胞には分化するとの豊富な報告があったが、胚内内胚葉系細胞への分化の明確な報告は無かった。我々は、ES細胞の分化誘導に独自の胚様体形成法を用い、その頻度はわずかではあるが、ES細胞が腸管上皮細胞や肝細胞さらに膵内分泌細胞へ分化することを確認した。hanging drop法により形成した胚様体をゼラチンコートシャールにて付着性培養を行ったところ、4-5日目ごろより心筋線維群が観察され、14日目ごろより、ICGに染色される細胞集団が心筋線維群近傍に多く出現した。このICG陽性細胞には肝細胞機能関連の多種遺伝子発現が認められ、電顕観察でも滑面・粗面小胞体、ミトコンドリア、ペルオキシゾームなど細胞内器官がよく発達、さらに隣接細胞間には毛細胆管様構造が形成され、「肝細胞」と考えられた。胚体内内胚葉系細胞として肝細胞の以外にも、前述のごとく膵内分泌細胞群や腸管上皮様細胞への分化も確認した。
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