研究概要 |
外部から与えられた抗酸化剤のインビボ動態から局所組織の酸化状態あるいは抗酸化能を評価するための核医学診断薬としての可能性を追求する目的で,6位に放射性ヨウ素を導入したAsA分子として,6-iodophenyloxy-L-ascorbic acid (6-IPA)を設計した。 前年度において、6-IPAはインビトロ還元活性は保持していること(72%),アスコルビン酸よりも脂溶性が高いこと(pH7.4でlogP値-0.42)を明らかにした他、6-^<125>IPAを効率よく得ることに成功した。また、dehydro6-^<125>IPAについてfibrosarcoma移植マウスにおけるインビボ体内動態を調べた結果、脳,腫瘍への分布は低かったが,腫瘍/筋肉比が最大で1.7倍でありある程度の選択性を示した。さらに脱ヨウ素代謝を受けやすいことが示唆された。 本年度は6-^<125>IPAのfibrosarcoma移植マウスを用いたインビボ評価をまず行った。その結果、脳、腫瘍への分布は低かったが、腫瘍/筋肉比が最大で2.1倍の選択性を示した。これらの結果、2-IBA、3-IBA、6-IPAはアスコルビン酸とは全く異なる挙動を示す事が明らかとなった。この原因として、導入したヨードベンジル基、あるいはヨードフェニル基が大きすぎで生体膜透過に関わるキャリア蛋白にアスコルビン酸として認識されなかった可能性が考えられる。そこでこの問題を解決するために、より小さなヨウ素官能基としていくつかの新規ヨウ素標識アスコルビン酸誘導体をデザインした。そのうち、6-deoxy-6-iodo-L-ascorbic acidの合成を達成した。その放射性ヨウ素標識体合成法開発については現在検討中である。
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