研究概要 |
研究目的:若年女性には、診断基準を満たす摂食障害だけでなく、体型への懸念などの部分症状を持つものが稀でない。これらの病的意義を知り、摂食障害に発展するものについては早期に介入するために、中学生高校生女子の摂食障害関連症状の継時的変化について調査した。 対象と方法:対象は東京都内のある女子中高校で、中2時と2年後の高1時の2回、Eating Disorder Inventory-2:EDI-2(摂食障害質問紙第2版)に回答した226名と,高1時と高3時の2回同質問紙に回答した278名である。 結果と考察 1.欧米に比べ、日本では体重が低いにもかかわらずEDI-2の身体不満足サブスケールの程度が高い可能性について、より年齢の高い群について示した報告があるが、今回の思春期年齢層でも身体不満足は高く、Body Mass Index (BMI)との相関も欧米と同程度に高かった。身体不満足は、抑うつ感や自己価値観の低さと摂食症状の間の中間的症状として重要だと思われた。 2.それぞれの群の中2時、高1時のやせ願望や身体不満足とその後の体重増加は負の相関があり、これらのサブスケール値が高いと体重増加を抑制する傾向が見られた。ただし、相関係数は、これらだけで体重の動きを説明できるほど高くはなかった。 3.摂食障害の発症前の要因として受験ストレスを重視する説もあるが、EDI-2のサブスケールの中では、中2から高1には得点が増加し、高1から高3では低下するものが多かった。将来の目標等が具体化した時期よりも、漠然とした不安を抱えた時期の方が体型への懸念等は強まることが推測された。 4.思春期の女子の摂食障害部分症状や関連症状については、このような年齢による違いを踏まえて援助を行うことが重要だと思われた。
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