研究概要 |
GFP陽性B6(同系)、脾細胞投与による免疫寛容が得られる(B6xbm1)F1(class I MHC-mismatch),免疫寛容が得られない(B6xB10. QBR)F1(class I MHC-mismatch)と(B6xbm12)F1(class II MHC-mismatch)脾細胞を、各々5x10^7個B6マウスに静脈内投与し、経時的に宿主脾臓内のGFP陽性細胞数と細胞種を検討した。脾内のGFP陽性細胞は何れの場合にも8週まで検出され、その後検出感度以下となった。4週後の比率は各々1.63+/-0.55,1.69+/-1.39,1.36+/-0.50,0.85+/-0.50%であった。bm12脾細胞の生存率が低いのは、B細胞が選択的に除去されるためであったが、同じく免疫寛容が誘導されない(B6xB10. QBR)F1脾細胞投与の場合には、免疫寛容が誘導される(B6Xbm1)F1脾細胞やB6脾細胞投与の場合と同じく、B, T両細胞が検出された。対応する脾細胞投与後に皮膚移植を行ったところ、bm1移殖片は8週以上生着したのに対して、(B6xB10. QBR)F1とbm12移殖片は全例2週以内に拒絶された。この(B6xB10. QBR)F1拒絶例で、脾細胞投与4週後のGFP陽性細胞を検討したところ、移植片が拒絶されたにもかかわらず、1.74+/-0.91%のドナー脾細胞を認めた。以上から、リンパ系キメリズムは免疫寛容と相関する場合もあるが、単独では免疫寛容の指標となり得ないことが示唆された。 そこで、(b6xbm1)F1脾細胞移入後のリンパ節と脾内でのFasligand, TRANCE, B7.1, B7.2, CTLA-4遺伝子発現を定量的に検討したが、免疫寛容を説明し得る結果は得られなかった。免疫寛容の診断法開発には、さらなる免疫寛容機構の解明が必要である事が示唆された。
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