研究課題/領域番号 |
13877298
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浜田 淳一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (50192703)
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研究分担者 |
杉原 平樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20002157)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ホメオボックス遺伝子 / HOX / カドヘリン / 転移・浸潤 / 細胞接着因子 / 悪性黒色腫 |
研究概要 |
癌転移成立過程は、癌細胞の原発巣からの遊離に始まる。この過程を発生生物学的に考えてみると、基本的には癌細胞のもつ固有の空間的位置情報の乱れが原因と捉えることができる。すなわち、癌細胞が発生母地(原発巣)を正所として認識できなくなり、原発巣にとどまる必然性が失われたため、原発巣から遊離していくと考えることができる。正所と認識させる位置情報の発信源として形態形成のマスター遺伝子であるHOX遺伝子が挙げられる。このHOX遺伝子の発現異常が、細胞接着因子の発現・機能異常を引き起こすため、癌細胞間の接着性の減弱が生じ、癌細胞の原発巣からの遊離を促すという仮説を立て、本研究を行った。本研究により、次のことが明らかとなった。 1.7系のヒト悪性黒色腫細胞株と正常メラノサイトを対象に、HOXD3遺伝子、カドヘリン(E、PおよびN)、カドヘリンと複合体を形成するカテニン(α、βおよびγ)の発現をRT-PCR法で解析した。その結果、HOXD3は、メラノサイトでは、発現していないが、7系中6系の悪性黒色腫細胞株では発現していることが明らかとなった。E-カドヘリンの発現は、2/7株で、また同じ細胞株においてP-カドヘリンの発現も認められた。一方、N-カドヘリンは全株において発現していた。α、βおよびγ-カテニンはすべて全株で発現がみられた。 2.HOXD3を発現し、E-カドヘリンおよびP-カドヘリンを発現していない2系の悪性黒色腫細胞株にHOXD3アンチセンス発現ベクターを遺伝子導入し、これらカドヘリンの発現変化について検討した。HOXD3アンチセンスの導入は、E-カドヘリンおよびP-カドヘリンの発現を変化させなかった。 3.HOXD3アンチセンスを導入した2系の悪性黒色腫細胞株は、細胞浸潤性および運動性が著明に低下した。 以上の成績から、形態形成遺伝子のひとつであるHOXD3は、悪性黒色腫細胞で発現すると細胞浸潤・運動性を亢進させるが、細胞間接着因子であるカドヘリンの発現には影響しないことが示唆された。
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