研究概要 |
(1)ラット切歯形成端から作製した細胞株HAT-7の特性を検討した.HAT-7は,サイトケラチン14に陽性であり,培養条件がコンフルエントになるとアメロゲニン発現する細胞とアルカリフォスファターゼ(ALP)を発現する細胞が出現する。同時にアメロゲニンを発現する細胞はJagged1、ALPを発現する細胞はNotch1を発現することを明らかになった。さらにこれらの細胞にNotch1の強発現を行うとALP細胞の増加が観察され、アンチセンス等で抑制すると減少した。これらの結果から、細胞分化の方向性にNotchシグナル系が重要な働きをしていることを示した。(2)HAT-7の分化の多様性に関する検討.この細胞株に発現ベクターを遺伝子導入してβガラクトシダーゼ発現細胞を作製した.これを腎臓に移植して細胞の変化を観察したが,腎臓組織への細胞生着が十分でなく、明確な結果が得られていない。そのため,新たな細胞移植法を検討中である。(3)また,現在細胞株ではなく,ラット切歯形成端のApical Bud(現在この用語については、提唱中である)の一次培養細胞に上記と同様,エレクトロポレーション法を用いてβガラクトシダーゼ発現遺伝子を導入し,移植実験を試みている.これらの結果を踏まえて,エナメル上皮幹細胞の多能性について検討する.(4)BrdUとKi67を用いた実験から、臼歯歯堤細胞やエナメル随にエナメル上皮幹細胞が存在する可能性が考えられ、この部位から幹細胞を分離し、その多様性を検討中である。
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